「放棄する」と言っただけで相続放棄ができるか?

Q:先月父が亡くなりました。子である私は、結婚して県外で生活していて地元に戻る予定はありません。地元に残って母の面倒をみてくれている兄弟に遺産をまかせようと考えています。相続を放棄するのだから、法的にはなにもしなくてよいでしょうか?

A:遺産がプラスの財産のみの場合は、遺産分割協議によりご自身の相続分を他の相続人へ譲渡するなどの方法が考えられます。
また、借金が多い、相続人同士で話し合いが難しいなどの事情がある場合は、期限内に家庭裁判所へ相続放棄の申述を行うことにより、そもそも相続人でなかったことにしておく必要があります。


コメント

相続が発生しているが、「共同相続関係から離脱したい」という趣旨の相談を受けることは多くあります。

プラスの財産だけの場合は、「自分はいらない、手続きにも協力する」と他の相続人に伝えるだけで問題はないかもしれません。

しかし、借金などのマイナスの財産がある場合、他の相続人に放棄することを伝えるだけでは不十分で、期限内に家庭裁判所に相続放棄の手続きをしなければ免れることができません。

「自分はもう相続を放棄すると親族に伝えたから大丈夫」といって何もしないと不測の事態に巻き込まれることもあります。

判断に迷ったときは、くれぐれも素人判断は避け、お早めにご相談ください。