死亡した子の借金を免れることができるか?(相続放棄の事例)
Q:息子が18歳のときに家を出てしまいました。その後どこでどのような暮らしをしているかわかりませんでしたが、数年後のある日、警察から息子が死亡したとの連絡を受けました。
息子には財産と呼べるようなものもなく、結婚もしておらず、子どももいないようでした。
それから3ヶ月が経った頃、貸金業者から「相続人であるご両親に借金を支払ってもらいたい」との連絡がありました。
親である自分が借金を負担しなければならないのでしょうか?
また、相続放棄をするとどうなるのでしょうか?
A:亡くなった方に配偶者・子がいない場合、相続人は直系尊属になりますので、まずはご両親が支払義務を負いますが、相続放棄により負担を免れることができる可能性が残っています。お早めに専門家にご相談ください。
また、ご両親がそろって相続放棄をすると、今度は祖父母が相続人になります。祖父母全員が相続放棄をすると、今度は息子さんの兄弟姉妹が相続人になります。よって、関係者全員に事情を説明し、協力してもらう必要があるでしょう。
コメント
まずは誰が相続人になるのかがポイントですが、以下の順番に従って、先順位の者が相続人となります。また、配偶者がいれば配偶者は常に相続人になります。
1.子(+配偶者)
2.直系尊属(+配偶者)
3.兄弟姉妹(+配偶者)
事例では2のパターンになりますので、ご両親が相続人となり、原則として、息子さんの権利義務をご両親が引き継ぐことになります。
しかし、こういう場合のために相続放棄という方法があります。
自分が相続人となったことを知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所に相続放棄を申述することで、借金を引き継がなくて済むようになります。
この3ヶ月という期間を考えていくのにも少々専門知識がいりますので、一見3ヶ月が過ぎているような場合でも、あきらめずにご相談ください。
また、相続の第2順位である「直系尊属」という単語ですが、直系(タテの関係)の尊属(上の世代)が一人でもいれば、その方が相続人になります。
つまり、両親が相続放棄をしても、祖父母の一人でもご健在でおられれば、今度はその方が相続人となりますので、その方についても相続放棄をする必要が生じると思われます。
さらに、相続の第3順位である兄弟姉妹ですが、第2順位全員が相続放棄をしたことにより、相続人がいなくなれば、今度は兄弟姉妹が相続人となりますので、こちらについても相続放棄をする必要が生じてくると思います。
こうした事例は一連の見通しをたてて進めていくことが大切です。
お話を伺いながらよりよい進め方を検討し、適切なサポートを目指します。
お気軽にご相談ください。